扶抑ふよく
意味と読み方
扶抑は、命式の中心に置く日干の力を見て、足りなければ支え、強すぎれば力の向きを外へ逃がしたり制したりする読み方です。「扶」は助けること、「抑」は抑えることを指します。たとえば支えとなる要素が乏しい日干には、同じ側の力や日干を生む力を候補として考えます。
ただし干の個数だけで強弱を決めるわけではありません。生まれた季節、地支の支え、ほかの干との関係を見る必要があります。また、極端に一方向へ偏った命式を、その勢いに従う型として読む立場もあります。扶抑は命式の均衡を考える一方法で、全ての格局や用神を一つの足し算に還元する規則ではありません。
甲の木が季節に支えられて強い場合と、支えが乏しい場合では、同じ庚の金を見たときの評価が変わりえます。
詳しく知る:成立条件・原典・解釈
意味
扶抑(ふよく)とは、日干の強弱に応じて、強すぎる場合は洩らす・剋すことで、弱すぎる場合は生じる・助けることで、命式全体のバランスを取ろうとする用神選定の考え方です。用神を決める複数の立場のうち、最も広く知られる方式のひとつとされます。
原典での記述
干旺宜行衰運,干弱宜旺運
淵海子平「論大運」は、日干が強い場合と弱い場合で好ましい運が変わると述べ、その直後に格局の喜忌に応じて変通すべきだと注意しています。この原則は、身強身弱の判定そのものと表裏一体の関係にあります。任鉄樵の注釈では、扶抑の判断は単に日干の強弱だけでなく、命式全体の「気勢」(どの方向に気が流れているか)まで見て初めて的確になると論じられています。
命式での見方
身強の命式であれば、日干の気を漏らす食傷、あるいは日干を剋する官殺が用神の候補になりやすいとされます。身弱の命式であれば、日干を支える比劫・印綬が用神の候補になりやすいとされます。例えば、日干が甲で身強、地支に官殺(金)の根もある命式では、その官殺を用神として、日干の強すぎる勢いを制する構成が良いと読まれます。逆に日干が甲で身弱、地支に印綬(水)の根がある命式では、その印綬を用神として、弱い日干を支える構成が良いと読まれます。
成り立ちと歴史
日干の強弱に応じて運の喜忌を考える記述は淵海子平「論大運」にもあります。ただし同章は格局の喜忌に応じた変通も求めており、単純な強弱の二分だけを古典の唯一の方法とすることはできません。
流派による違い
扶抑を用神選定の唯一の軸とする実務と、月令取格(子平真詮)・調候(窮通寶鑑)と組み合わせて総合的に判断する実務とがあります。日本の実務解説では扶抑を最も基本的な考え方として紹介する例が多いとされます。
本サイトでの扱い
本サイトは扶抑を用神選定の柱のひとつとして位置づけ、月令取格・調候と並行して評価する方式を採っています。
関連する用語とのつながり
扶抑は身強・身弱の判定と表裏一体の関係にあり、極端な場合は従格・専旺格という別の枠組み(外格)へつながることがあります。月令取格・調候とあわせて用神の全体像を理解する必要があります。
流派による違いと、本サイトでの扱い
強い働きを抑え、弱い働きを助けるという用神の見方です。季節に必要な働きを見る調候などとは分けて読み、同じ用神の意味だと決めつけないようにします。
出典・参考文献
- 淵海子平 論大運
- 子平真詮 論行運
- 滴天髓 歲運論 歲運論(本文行111–141)
- 中文維基百科「窮通寶鑑」(脚注:沈煒民著『周易與應用』新1版、上海辭書出版社、2023.08、第261頁) 論命者謂八字有「扶抑」「格局」「納音」「調候」諸說