十干

乙きのと

意味と読み方

乙は、草花、つる、若い枝のようにしなやかな植物にたとえられる、陰の木の記号です。甲と同じ木でも、陰陽の区別があるため別の干です。

たとえば日干が乙なら、季節が春か秋か、根になる地支があるかを確認します。草花の比喩を、控えめな性格や恋愛傾向の断定には使いません。

詳しく知る:成立条件・原典・解釈

意味

乙(きのと)は十干(甲乙丙丁戊己庚辛壬癸)の1つです。四柱推命では年干・月干・日干・時干のいずれかに現れる基本の文字で、五行は木、陰陽は陰(弟)に配されます。乙は十干のうち甲に次ぐ2番目で、五行は甲と同じ木、陰陽は陰にあたります。

原典での記述

後漢の班固が編纂した『漢書』律暦志には、十干それぞれの字義を続けて説明した一節「出甲於甲,奮軋於乙,明炳於丙,大盛於丁,豐楙於戊,理紀於己,斂更於庚,悉新於辛,懷任於壬,陳揆於癸」があります。この中で乙は「奮軋於乙」と説明され、陽気に押されて草木が軋(きし)むように曲がりくねりながら伸びていく段階を表すと解釈されています。また、前漢の司馬遷『史記』律書にも近い趣旨の説明「言萬物生軋軋也」があり、両書で共通する理解として確認できます。

五行と陰陽への配当

前漢の『淮南子』天文訓には「甲乙寅卯、木也。丙丁巳午、火也。戊己四季、土也。庚辛申酉、金也。壬癸亥子、水也」とあり、十干を五行に配当する早い時期の記述として確認できます。陰陽については、隋代の『五行大義』が五行ごとに十干を兄(陽)・弟(陰)の対として説明しており、乙は木の陰(弟)にあたります。

命式での見方

乙が四柱の天干に出ている場合、日干との五行・陰陽の関係(生む・生まれる・剋す・剋される・同じ)によって通変星が決まります。日干そのものが乙であれば、乙は比肩・劫財の基準そのものになります。

読み方

乙の訓読みは「きのと」です。日本の暦では、五行の兄(え)・弟(と)を「え」「と」と読み、木の弟(と)として五行名の後ろに続けて「きのと」と読みます。中国語の音読みでは乙は十干のうち2番目にあたります。

本サイトでの扱い

当サイトでは乙を含む十干すべてについて、五行・陰陽の配当を通変星・十二運・蔵干の計算に共通して用います。干支の組み合わせ(六十干支)の計算基盤として、他の九干と同じ規則で扱います。

流派による違いと、本サイトでの扱い

十干の字義は『漢書』など、五行や陰陽の対応は『淮南子』『五行大義』などに基づく伝統的な説明です。字の意味から本人の性格や運命がそのまま決まるわけではありません。

出典・参考文献