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インド占星術と四柱推命の違いは? 暦の基準・使う天体・時期の区切りを比べる

占いの文化・歴史
九つの光が浮かぶ藍の星空の円と、二十四の目盛りに囲まれた朱の太陽の円を並べた挿絵

インド占星術と四柱推命は、暦の基準、使う天体、時期の区切り方、月の役割の4点で、仕組みが異なります。四柱推命は干支と節気で読みます。インド占星術は、惑星とナクシャトラ(月の宿)の配置で読みます。この記事は、どちらが優れているかを判断しません。

結論:確認できる違いは4つの軸にまとまる

印象で語られる違いは多くあります。この記事では、資料で確かめられる仕組みの違いだけを比べます。

ここでは、『Bṛhat Parāśara Horā Śāstra』に記された体系を基準にします。ダシャーは、その第46章にあるヴィムショッタリ・ダシャーです。インド占星術のすべての流派に当てはまるものではありません。

軸 四柱推命 インド占星術
暦の基準 二十四節気。春分を0度とする太陽黄経で決まる 恒星基準を採る方式では、恒星基準とアヤナーンシャを用いる。方式ごとの定義を確認する
使う天体 惑星の位置は使わない。節入りの判定に、太陽の位置を使う 太陽・月・惑星に、ラーフとケートゥを加えた9つを使う
時期の区切り 大運。生まれ月の干支を起点に、10年ごとに区切る ヴィムショッタリ・ダシャー。9惑星が順に巡り、全体で120年
月の役割 月柱は節入りで決まる。天体の月の位置は使わない 生まれた時の月のナクシャトラが、ダシャーの起点を決める

以下、軸ごとに確認します。

暦の基準は同じなのか?

四柱推命は、二十四節気で年や月を区切ります。国立天文台の解説では、二十四節気は太陽黄経の値で定義されます。春分が0度、立春が315度です。節入りの詳細は、節入りと立春の記事で解説しています。

本記事で扱う方式の暦基準は、方式ごとの仕様を確認して比べる必要があります。恒星基準を採る方式では、恒星黄道の始点とアヤナーンシャ(春分点と恒星基準のずれ)の定義が確認項目です。Swiss Ephemeris公式仕様§2.8.1も、複数のアヤナーンシャ定義を区別しています。これは現代の計算法の説明であり、古典原典やインド占星術全体の採用基準を示すものではありません。

使う天体:惑星を使う体系と使わない体系

四柱推命の命式は、干支で書かれます。惑星の位置は使いません。ただし、節入りは太陽の見かけの位置で決まります。太陽だけは、暦の区切りに使われています。

インド占星術は、太陽、月、5つの惑星に、ラーフとケートゥを加えた9つを使います。この9つは、ナヴァグラハと呼ばれます。ラーフとケートゥは、月の軌道と太陽の通り道が交わる2つの点に付けられた名前です。天体ではなく、計算上の点です。

中国にも、惑星と羅睺・計都で読む「星命術」があります。羅睺・計都は、ラーフ・ケートゥの漢訳です。唐の後期に外来の技法が入って広まったと、Kotyk(2018)は述べています。星命術は、四柱推命とは別の体系です。

人生の時期の区切り:大運とダシャー

どちらも、人生をいくつかの期間に区切ります。違いを表にします。

項目 大運 ヴィムショッタリ・ダシャー
起点 生まれ月の干支(月柱) 生まれた時の月のナクシャトラの支配星
1期の長さ 10年で一定 惑星ごとに違う。6〜20年
全体 10年ごとの期間が続く 9惑星で120年
最初の期の端数 節入りまでの日数を、3日=1年で換算 月がナクシャトラ内を進んだ割合で、比例配分

ダシャーの期間は、太陽6年、月10年、火星7年、ラーフ18年、木星16年、土星19年、水星17年、ケートゥ7年、金星20年です。合計は120年になります。順番は、太陽、月、火星、ラーフ、木星、土星、水星、ケートゥ、金星です。

この順番は、Santhanam訳『Bṛhat Parāśara Horā Śāstra』の第46章で確認できます。この文献の成立年代は、確認できていません。ここでは年代に触れません。

大運の換算は、三命通会に記述があります。順行は生まれてから次の節入りまで、逆行は直前の節入りまでの間隔を、3日で1年に換算します。詳しくは大運の記事を参照してください。

どちらも、生まれ月に関わる要素から人生を区切ります。ただ、単位も換算も別物です。一方から他方が派生したことを示す資料は、調べた範囲では見つかりません。

命式を計算することができます。命式の区分を選ぶと、大運も確認できます。

月の扱い:月柱とナクシャトラ

四柱推命の「月柱」の月は、節入りで区切る暦の月です。天体の月の位置は使いません。

インド占星術のナクシャトラは、天体の月が通る27の区分です。1つの幅は13度20分で、27個で360度になります。生まれた時に月がどのナクシャトラにあったかで、ダシャーの起点が決まります。

「月」という字は共通します。ただ、見ている対象が違います。

どちらを選べばよいのか?

この記事は、どちらが優れているかを判断しません。判断に使える資料が、確認できていないためです。四柱推命について、検証できるデータの現状は、四柱推命は検証できるのかで整理しています。

選ぶ手がかりは、材料の違いにあります。生年月日と出生地から求める干支の暦なら、四柱推命です。惑星の配置図(ホロスコープ)なら、インド占星術です。

当サイトが提供するのは、四柱推命の計算です。インド占星術の計算機能はありません。

この表に入れなかったこと

次の3点は、比較の表に入れていません。

出生時刻の扱いは、インド側の一次資料を確認できていないためです。相性の判定方法は、成立を確認できる学術資料が見つからないためです。「物質的か精神的か」といった性格づけは、比較の根拠を示せないためです。

まとめ

  • 暦の基準は方式ごとに確認します。恒星基準を採る方式では、恒星黄道の始点とアヤナーンシャの定義が確認項目です。
  • 四柱推命は惑星の位置を使いません。インド占星術は、惑星とラーフ・ケートゥを使います。
  • 時期の区切りは、大運が10年ごと、ダシャーが9惑星で120年です。
  • 月柱の月は暦の月で、ナクシャトラは天体の月が通る区分です。
  • 両者の間に派生の関係を示す資料は、調べた範囲では見つかりません。

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出典・関連資料

  • 国立天文台 暦計算室「こよみ用語解説 二十四節気」。https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/faq/24sekki.html
  • Parāśara. Bṛhat Parāśara Horā Śāstra. R. Santhanam訳、第2巻(第46章)。New Delhi: Ranjan Publications(訳者序文の日付は1984年。刊行年は未確認)。
  • Kotyk, Jeffrey. “The Sinicization of Indo-Iranian Astrology in Medieval China.” Sino-Platonic Papers 282, 2018. https://sino-platonic.org/complete/spp282_Indo-Iranian_Astrology_China.pdf
  • 大運の換算の記述は、三命通会(明・萬民英)に基づく。詳しくは大運の記事を参照。