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用神とは? 扶抑・調候・通関・病薬、優先順位の考え方

命式の基礎
朱の重りで釣り合う天秤の、用神をイメージした挿絵

用神とは、命式のバランスを整えるために必要な五行のことです。日干が強すぎる・弱すぎるという偏りを整える「扶抑」、生まれた季節の寒暖・乾湿を整える「調候」など、複数の考え方があり、どれを優先するかは命式の状態によって決まります。

用神を読む前に押さえておきたい四柱推命のしくみ全体は、「四柱推命とは?」で解説しています。

用神とは何ですか?

身強・身弱は、命式の中で日干を助ける力と、日干が力を使う・制される側との関係を、季節・通根・配置などと合わせて読む区分です。意志の強さ、能力、健康状態の判定ではありません。五行の個数だけで決めず、出生時刻が不明なら判断できる範囲を確かめます。

命式は、日干を中心に五行が入り混じった状態です。用神とは、この命式のバランスを整える方向に働く五行を指します。「巡ってくる時期に追い風になりやすい五行」として、大運・年運などの巡りを読む基準になります。「忌神」と呼ばれるのは、用神とは逆に、バランスを崩す方向に働く五行です。

用神を決める考え方にはどんな種類がありますか?

用神を決める5つの考え方
扶抑・調候・通関・病薬・専旺という、用神の判定に使う5つの考え方それぞれが何を見て五行を決めるかを示す。

用神の考え方は1つではありません。命式のどこに注目するかによって、いくつかの体系に分かれます。計算に用いる主な考え方は次のとおりです。

考え方 何を見るか
扶抑(ふよく) 日干が強いか弱いかを見て、強すぎれば抑える五行、弱すぎれば助ける五行を用神にする
調候(ちょうこう) 生まれ月の寒暖・乾湿を見て、それを整える五行(冬生まれに火、夏生まれに水など)を用神にする
通関(つうかん) 命式の中で反発しあう2つの五行の間を取り持つ五行を用神にする
病薬(びょうやく) 格局を壊している要素(病)を、それを抑える五行(薬)で治す考え方
専旺(せんおう) 外格(専旺格・従格)が成立しているとき、その格が従う五行を用神にする

これら5つの考え方は近代の実務で整理されたもので、どれを優先するかを古典が明文で定めているわけではありません。当サイトでは複数の体系を並行して評価し、次の節の順序で主な用神を決めます。ほかの体系が示す五行も、あわせて示します。

扶抑と調候、どちらを優先しますか?

用神を決める優先順位のフロー
外格の成立を最優先に、次に調候の急さと扶抑の方向が一致するか、用神の扶抑基準で中和しているか、格局に病があるかを順に確認して主な用神を決める。

当サイトでは、身強・身弱の表示は沈孝瞻『子平真詮』の原文を採用基準にします。一方、用神の検証基準は徐樂吾評註『窮通寶鑑』の調候の読みです。用神を決める扶抑の判定には、表示の強弱とは別の基準を用います。ここでいう「中和」はその扶抑基準の区分であり、画面の身強・身弱と同じ区分ではありません。調候をすべての命式で一律に主用神とする計算ではなく、画面の方式名・根拠・主用神・補助・調候を合わせて確認してください。

現行計算で主な用神を決める順序は、次のとおりです。

  1. 外格(専旺格・従格・化格)が成立していれば、その格が従う五行が用神です。扶抑・調候よりも、こちらが優先されます。
  2. 外格が成立しておらず、調候(生まれ月の寒暖・乾湿を整える必要)が急を要する命式が対象です。その方向が扶抑(日干の強弱を整える方向)と一致する場合に、調候の五行を主な用神にします。
  3. 用神の扶抑基準でほぼ中和していて調候が急を要する場合、優先するのは調候です。
  4. 用神の扶抑基準で中和していて、格局に「病」(格を壊す要素)がある命式では、病薬の考え方が優先されます。
  5. それ以外の、用神の扶抑基準で強弱がはっきりしている一般的な命式は、扶抑が優先です。日干が弱ければ負担が最も重い方向に応じて印か比劫を、強ければ偏りに応じて財・官殺・食傷を用神にします。
  6. 通関は、以上の主な用神を補う位置づけです。

つまり、外格が成立していない一般的な命式では扶抑が基本です。ただし、生まれた季節の寒暖差が極端で、それが日干の強弱を整える方向とも一致する場合は、調候が扶抑より優先されます。扶抑と調候が逆方向を向く場合、たとえば日干は強いのに季節的には火が必要な場合などは、扶抑の五行を主な用神にします。調候の五行は「調候の用神」として別に並べて示します。

用神が命式にない場合はどうなりますか?

用神として決まった五行の十神が、命式の天干・地支のどこにも実在しない(根を持たない)ことがあります。その場合、当サイトはその用神を「不在」とみなし、断定的な表現をしません。示すのは、「巡ってくる時期に力が出やすい」という条件つきの読み方です。

用神は相性の鑑定にどう使いますか?

相性の鑑定では、双方の用神が共通しているか、一方の用神をもう一方が命式に持っているかを見ます。これらの観点は、相性の点数を構成する要素の1つです。

用神と忌神はどう違いますか?

用神が命式のバランスを整える方向の五行であるのに対し、忌神はそのバランスを崩す方向の五行です。用神を助ける五行は「喜神」、忌神を助ける五行は「仇神」と呼ばれることもあります。鑑定文では主な用神・補助的な用神・調候の用神・忌神・仇神をそれぞれ示し、命式に実在するものを中心に説明しています。

調候用神表とは何ですか?

調候の考え方で使うのが、日干と生まれ月(月支)の組み合わせごとの一覧です。そこには、その季節の寒暖・乾湿を整えるために必要とされる五行が、あらかじめまとめられています。これが調候用神表です。窮通宝鑑という古典に由来し、日干10種×月支12種=120通りの対応表として知られています。たとえば、冬に生まれた日干は寒さを、夏に生まれた日干は暑さを和らげる五行が必要とされ、これが基本の考え方です。命式の計算でも、調候の判定にはこの120通りの対応表を使っています。

忌神・仇神とはどんな五行ですか?

用神を助ける五行は「喜神」、用神そのものは「用神」です。これに対し、命式のバランスを崩す方向の五行を「忌神」、その忌神をさらに助ける五行を「仇神」と呼びます。たとえば日干が強すぎる命式で、日干を助ける比劫が忌神になるとします。仇神に当たるのは、その比劫をさらに強める五行(日干と同じ五行を生む五行)です。巡り(大運・年運)で忌神・仇神に近い干支が来る時期は、負担が大きくなりやすいと読みます。

用神は一生変わらないのですか?

命式そのもの(生まれた瞬間の四柱)は一生変わりません。用神の判定に使う「強弱」や「調候の急さ」は、あくまで生まれた瞬間の命式を基準にしたものです。ただし外格(従格・専旺格)が成立している場合、大運によって命式全体の五行のバランスが大きく変わると、外格の前提が崩れることがあります。このときは用神の考え方そのものを見直す必要があるとされます。とはいえ、これは流派によって扱いが分かれる、高度な論点の1つです。

用神の判定を実際の命式で確認するには、どうすればよいですか?

たとえば、日干を助ける比劫・印が命式に少なく、日干を剋す・日干が剋す・日干が生む十神が多い命式を考えます。こうした命式は、一般に「身弱」(日干が弱い)と判定されやすくなります。扶抑の考え方で用神の候補になるのは、日干を助ける五行(負担の重さに応じて印か比劫)です。ただし、この命式が真夏(火の気が強い月)の生まれで、調候の観点でも水の五行が急を要するとします。このとき、扶抑と調候の両方が同じ方向(日干を助ける、季節を冷ます)を示すことがあります。その場合に主な用神として優先されるのは、調候の五行です。逆に、両者が逆を向く場合は、扶抑の五行を主な用神とし、調候の五行は別枠で示します。用神の判定には、命式全体の強弱・季節・格局の状態を組み合わせた条件分岐が必要です。そのため命式作成フォームでは、生年月日時を入力すると用神・忌神とその判定根拠をあわせて表示します。

計算結果で読む例:同じ日干でも季節で用神の決まり方は変わりますか?

日干が同じ甲で、生まれた季節だけが違う2例です。どちらも強弱は身弱と表示されますが、用神の根拠の欄が変わります。

項目 夏の例 冬の例
入力 1990年6月8日 12時00分・東京都 1991年1月4日 12時00分・東京都
四柱(年・月・日・時) 庚午・壬午・甲辰・庚午 庚午・戊子・甲戌・庚午
強弱 身弱(日干を助ける側の割合 24%) 身弱(同 36%)
用神 水(印) 水(印)
用神の根拠 調候+扶抑 扶抑
調候が挙げる五行 水(癸)。用神と同じ 火(丁)。強弱の面では負担になる、と別に表示
忌神 土 土

夏の例では、暑さを和らげる調候の水と、弱い日干を支える扶抑の水が同じ五行を指すため、根拠は「調候+扶抑」になります。冬の例では、調候は寒さを和らげる火を挙げますが、火は弱い甲の力をさらに使わせる側です。当サイトは扶抑の水を用神とし、調候の火は「強弱の面では負担になる」と添えて別に示します。日干だけで用神を決められないのは、このように月と強弱で根拠が入れ替わるためです。

例は架空の出生情報を当サイトの計算に入力した結果で、実在の人物ではありません。画面のどこを見ればよいかは「命式の見方を二つの例で練習:日干から大運まで読む順番」で順に追えます。

まとめ

  • 用神は、命式のバランスを整える五行です。逆にバランスを崩す五行を、忌神と呼びます。
  • 用神の考え方は複数あります。扶抑(日干の強弱を整える)・調候(季節の寒暖を整える)・通関(反発する五行を取り持つ)・病薬(格局の欠陥を治す)・専旺(外格が従う五行)です。
  • 外格が成立していれば専旺が優先です。外格が成立していない場合は、調候が急を要し、かつ扶抑と方向が一致するときに調候を優先します。用神の扶抑基準でほぼつり合っている命式では、調候が急なら調候を、格局に病があれば病薬を優先します。それ以外は扶抑が基本です。
  • 扶抑と調候が逆を向く場合は、扶抑を主な用神とし、調候の用神を別に示します。

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出典・関連資料

  • 扶抑・調候・通関・病薬・専旺という用神の考え方の分類は、近代の四柱推命の実務で整理された体系です。古典(子平の各文献)はこれらの優先順位を統一的には定めていません。
  • 調候の基準となる、生まれ月ごとに必要とされる五行の対応表(調候用神表)は、窮通宝鑑に由来する伝統的な一覧です。
  • 用神を決める優先順位の規則は計算方法に実装されており、詳細は当サイトの計算方法で確認できます。